2012年総会報告

講演会

 30周年という節目の会として、神戸大学教授根木昭先生、兵庫医科大学教授三村治先生、そして神戸中央市民病院眼科部長の栗本康夫先生という、兵庫県を代表する3人の-先生方にそろってご講演頂きました。

 栗本先生には、「眼軸長と緑内障―短眼軸眼の緑内障・原発閉塞隅角緑内障―」のタイトルで、閉塞隅角眼と眼軸長の関係、近視と緑内障の関係などについて、疫学調査をもとにした非常に興味深い内容をご紹介頂きました。更に、閉塞隅角症、プラトーイリスなどの治療方針についてもご教示いただきました。
座長は神戸大学山本裕子先生にしていただきました。

 三村先生には「神経眼科疾患もここまで治る!」とのタイトルで、複視発症後6ヶ月たっても治らない、以前はあきらめていた種々の眼球運動障害について、かなりの率で手術的な方法で改善をもたらすことができることをお示しいただきました。甲状腺眼症もボトックス注射を使用することで、眼瞼後退を目立たなくすることが出来、ステロイド治療から離脱困難な重症筋無力症などの自己免疫疾患ではタクロリムスの内服療法が効果を上げており、患者さんの笑顔を取り戻すことが可能であることをご教示いただきました。
座長は県立西宮病院の岩橋佳子先生でした。

 根木先生には、「祝30回―眼科診療30年の変遷と課題―」というタイトルで、この30年間の眼科の進歩についてご講演いただきました。最初に出てきた駆逐性出血のビデオには、私達の年代では苦い思い出が思い起こされ、若い先生方にとっては、衝撃的な映像だったのではないかと思われました。白内障手術、硝子体手術などの外科的進歩についで、OCTの登場による内科的な進歩についてお話いただきました。目覚しい発展を遂げている眼科医療ですが、スーパーローテート導入後の新入医局員の減少が心配されています。
座長は兵庫医大の神野早苗先生にしていただきました。

 このような素晴らしい三人の先生方に同時にご講演いただけることはめったにないばかりでなく、それぞれの先生方の個性豊かな内容の深いご講演は30周年にふさわしい素晴らしいものでした。ご講演いただきました3人の先生方、座長をしていただきました3人の先生方にこの場を借りて改めて御礼申し上げます。

 
栗本先生


三村先生


根木先生


会場の様子
滝 純